2017年11月18日土曜日

上州武尊山


2017年11月07日(火)

【山名】沖尊山標高2158m 剣ガ峰山標高2111m


【山域】尾瀬周辺

【コースタイム】

11/06 小田原12:08(普通)-横浜13:02-東京13:40(新幹線)ー14:46上毛高原15:05(路線バス)
      -15:21水上…16:00宿

11/07 谷川ラズベリーユースホステルー 武尊神社登山口…武尊沢林道…須原尾根分岐
      …手小屋沢避難小屋分岐…沖武尊山頂…剣ヶ峰山…須原尾根分岐…武尊沢林道終点駐車場
      …裏見ノ滝駐車場(タクシー)ー16:10上毛高原駅16:14-東京駅ー18:33小田原駅


群馬の山仲間からアプローチが不便な武尊山に誘われて喜びますが、
直前になってキャンセルになります。
だからと言って「中止は残念」、残ったメンバー3人の総意で計画を見直します。
予定の高崎駅より1つ先の上毛高原駅で下車、路線バスで水上に入ります。
登山口テント泊を改め、ペンションくるみ村のユースホステルに宿泊(夕食付¥5550)
3ベッドの個室で安眠した翌朝は、裏見の滝駐車場までオーナーに送って貰います。
おかげで懸念していた早朝のアプローチ手段に目途がたち、
予定の日時で上州武尊山を登って来ることができました。
このところの遠征登山では、ガスに見舞われることが多かったのですが、
11月7日は最良の山日和に恵まれ、雄大な眺望を心ゆくまで楽しみました。

裏見ノ滝駐車場ゲートからオフロードの落葉敷く武尊沢林道を30分歩くと、
地面や草木に霜が降りてヒヤリとした空気が漂う駐車場広場に着きます。
立ったままで朝食をとり、登山の身支度を整えて出発です。
登山道を一筋の細い水流が下ってきます。
道の真ん中だったり、左右だったり、地形図の土崖の記号を過ぎた辺りから
標高差40mばかり水流を避けながら足を運びます。
標高1300mを過ぎて登山道は沖武尊と剣ヶ峰山の2手に分かれます。
私たちは時計周りに沖武尊→剣ヶ峰の周回ルートに入ります
直にカラマツ林に入り漸く山道らしく傾斜もついてきます。
沢を2・3度渉えたり尾根に乗ったり尾根を巻いたりしながら、
最後は標高差50m余り急傾斜の尾根を、稜線の鞍部上ノ原分岐に登り上げます。
直にかまぼこ型の金属のにぶ色をした避難小屋が10m下の眼下に見えてきました。
避難が必要な程弱った体には容易に近づけない立地ですね。
武尊山の道悪は知られるところですが、泥濘は凍っていて問題なかったものの、
直近に降った雪がクラストして滑べるので標高1770mでアイゼンを装着。


標高1900mで最初の鎖場が現れました。
岩場を滑り落ちた雪が足元に白く積もって、背後は切れ落ちています。
最後の私の番になった時、今日初めて出会う登山者が追いついてきました。
昨夜は裏見ノ滝駐車場で野営したという若者に先を譲ります。
1枚岩状の岩の2ヶ所に鎖とロープが下がって、左のロープは上部では登り易くなるようですが、最初の1歩に確信が持てなかったので、仲間と若者が上った右側の鎖を選んで登ります。
同様の鎖場をもう一つ登った先で登山道が南に向きを変え、現れたルンゼを4たび鎖と梯子で登り、頂稜に飛び出します。
藤原岳から東に背丈を越すハイマツ帯を抜けると一等三角点峰上州武尊山です。
青空の下包まれるような温かい陽射しの中、周囲の白い峰々が圧巻です。
谷川連峰、巻機山、越後三山、平ヶ岳、燧ケ岳、日光の山々、赤城山、榛名山、
富士山、八ヶ岳、浅間山、360度の展望を飽かず眺めます。
これから向かう剣ガ峰山の鋭美な頂と優美な稜線に心逸ります。
この時はまだ剣ヶ峰山のトゲの痛さを知りませんでしたから…。

2017年10月12日木曜日

船形山から泉ヶ岳縦走

船形山は、山形では御所山ごしょざんと呼ばれます。
宮城県と山形県にまたがる東西30K、南北25Kの船形連峰の主峰です。
私の所からは、アプローチに半日掛る山ですが、
初日に升沢避難小屋まで入っておくと、2日目は泉ヶ岳まで足を延ばせます。
下山後、泉ヶ岳キャンプ場から路線バスで地下鉄泉中央駅に戻れるのも便利です。




2017年10月04日(水)小雨霧~05日(木)霧

【山名】船形山(御所山)標高1500m 蛇ヶ岳標高1400m 

     三峰山標高1417m 北泉ヶ岳標高1253m 泉ヶ岳標高1172m

【山域】奥羽脊梁山脈 船形連峰


【コースタイム】10/04 仙台駅9:20=泉中央駅BS9:57=10:38吉岡上町BS=大和タクシー営業所11:00

                 =11:40駐車場11:50…升沢登山口12:00…なめこ収穫12:10…旗坂平12:22
                 …山光の宮入口14:00…瓶石14:35…14:50升沢小屋
             
              10/05 升沢小屋5:35…6:55船形山山頂7:25…千畳敷7:42
                 …8:40蛇ヶ岳8:45…9:30三峰山9:45…10:07三峰山東ノ肩10:17
                 …11:55熊ノ平…水源12:05…12:10なめこ収穫12:35…13:05北泉ヶ岳13:20
                 …三差路13:50…14:25泉ヶ岳15:00…16:30泉ヶ岳自然ふれあい館17:05バス
                 =泉中央駅=仙台駅18:57=小田原21:31



升沢登山口へは吉岡からタクシー(大和タクシー022‐345‐2181¥6050)に乗ります。
車を降りると、ポツリと雨が落ちてきました。
4日午後は予報ですが予想降水量は0mm、太陽がでているし直に止むでしょう
駐車場のふくろう橋を渡った一段上にきれいなトイレがあります。
奥に延びる林道を歩き始めるとまたパラパラと雨、念の為ザックカバーを付け、雨具はすぐ着られるように雨蓋の下に移します。

雨が降ってきました。背負ったばかりのザックを下ろします。


5分程歩き㉚標識からやや急な尾根に取り付くと、もうそこはブナの森の真ただ中。
ブナの傘を滑り落ちた雨粒が顔にかかりますが濡れるほどではありません。


林床にトチバニンジンの赤い実とルイヨウショウマの黒い実が一緒にありました。
トチバニンジンは栃の木の葉に似ているから、ルイヨウショウマは升麻の葉に似ているから、互いに似た葉をもつ植物から名前を貰っています。


広い登山道の真中に立枯れたブナを回込んだ相棒が、「なめこ!」と声を挙げます。
群生する天然のナメコにであったのは初めて、つやつやぷっくりまんまるです。
チョット考えてから、折角だからと今夜の味噌汁の実に二人分収穫します。


㉗旗坂平で傾斜が緩み、ブナの雫で体が湿っぽくなってきたところで雨具を着ます。


升沢コースの尾根の紅葉はカエデがちらほら色付いた程度、標高1000mで登山道が山腹を巻き始めるとブナにシラビソや灌木が混ざるようになり、㉑鳴清水辺りから標高1230mの⑧升沢小屋周辺が紅葉の見頃でした。


登山口から3時間で2階建ての可愛い升沢小屋に着きました。
今宵は紅葉に包まれた綺麗なこの小屋に泊めて貰います。
収容人員は詰めあって20人程、扉を開けた突当りにバイオトイレがあり、
外からも居室からも使いやすい位置です。
居室は中央に切られた土間を行き来する為、寝ている人に気兼ねなく動けます。
高床式で窓の位置が高い為室内が明るく、床下は倉庫として活用されています。
インドネシヤからの登山者が、「山の中にこんな良い家」と書き残すのも頷けます。
水場がそばにあるので大助かり、登山道になっている沢の水を煮沸して利用します。
小屋と熊さんに挨拶の鐘を鳴らします。


山の食料は、装備の軽量化優先で多くの場合フリーズドライですが、
きょうは天然ナメコの味噌汁つき、贅沢です。


2日目、お湯を沸かして朝食、身支度、掃除と済ませて5:30スタートです
小屋前から数段下り沢に、川床の石のペンキ印や木の枝の赤布を拾いながら、
標高差170m弱、沢の中を歩いて標高1428mの船形山南稜線に詰めます。


登るにつれ西側からの強風に見舞われ、途中で登山道が2本に分岐する辺り、
吹きさらしの西側を避け内側の灌木帯の道を選びます。
山形側の観音寺コースが出合うと山頂と小屋が見えてきます。


一等三角点にタッチ、思えば最近は霧づいての登山にちっとも当たらない


紅葉が終い初雪を待つだけの船形山、他に上って来る人もないようで二人きりです。
小屋を借り熱いコーヒーを、侭ならない時期があって相棒と泊りの山は4年振りです。
小屋の中央にまきストーブ、ありがたいことに歩荷の薪が積んであります。


往路を千畳敷に戻って右の尾根道に入り、灌木と笹が茂る縦走路を辿ります。


濡れた笹をかき分けながら進むと、蛇ヶ岳の鞍部で笹を刈る人達に出会います。
この先の三峰山でも、実は船形山山頂でも私たちと入替わりに登って来たお二人。
この天気ですから、登山者には初日に下山中の一人と会っただけで、登山道整備の方には10名とお会いしました。
「登山道も山小屋も守人のおかげで安心安全に利用できる」と、思いを新にします



後白髪山(うしろしらひげやま)と三峰山(坊主)の分岐を左にとって長倉尾根に入ります。


天候が次第に回復の兆し、装いの船形連峰が、姿を現し始めます。




しかし、振り返り眺める船形山には、依然として雲が垂れ込めています。



奥の2つ並んピークが北泉ヶ岳と泉ヶ岳、きょうのゴールはまだ遠いなぁ。


三峰山の急降下に「ここを登るのは骨が折れそう」、逆コースに胸をなで下ろしますが、北泉ヶ岳の登りも似たりよったりで、ヘロヘロになりました。


三峰山の急降下が20分で一段落します。
草を刈る人達が「坊主」と呼んだ三峰山、三峰山の東肩から振り返ると坊主に納得。


1時間前に分岐を分けた後白髪山うしろしらひげ山の大きな山容が目を引きます。
頂稜部を地図で見ると、見えている割には傾斜があります。


西方の後白髭山から南にみえる湖は大倉ダム、日本に1基だけの珍しいダムだそう



長倉尾根は、名前の通り長い尾根ですが、展望と原生林に恵まれ変化に富みます。
峰山の急傾斜が終わりると登山道は深い森に入って行きます。
登山道の立ち枯れの木や朽木に茸が生っています。
茸は原則採取しないのですが、今回幸か不幸か天然ナメコの味をしめ、
道端にさりげなく出ているナメコに無関心でいられず、採取してきました。
家族にナメコおろしを振る舞い、「美味しいでしょう」と得意満面です。


白い茸はブナハリタケ?


笹藪と泥濘が少々うるさい緩傾斜のブナの広尾根を最低鞍部まで下ります。
ブナの美しい森に、唐突に地図にない林道が交差して「熊ノ平の」標識を見ます。
上ってブナの木が2~3本ある広場の幕営地に着き、「水源」の標識があります。



 少しの間喘ぎ登ると次第に緩やかになり、ブナの並木が美しい登山道になります。
また少し等高線が混んだ段差のある登りを凌ぐと、 北泉ヶ岳山頂に到着します。





北泉ヶ岳の下りは、露岩の段差が疲れた足にはハードル高く時間がかかります。
三叉路まで下りきると最後のピーク泉ヶ岳へ、白樺の林を上って行きます。
ヤレヤレ山頂~、泉ヶ岳にも誰もいません。


予定では15時のバスに乗る筈でしたが…最近は毎度感じるのですが、以前より明らかに体力が落ちて、コースタイムをオーバーすることも珍しい事ではなくなりました。
途中からブナの森をゆっくり堪能しようと、キノコ狩りも、17時のバスに変更しました。


のんびり時間調整して、水神コースを泉ヶ岳自然ふれあい館のBSに下ります。
後半から天気がすっかり回復して、下山路から今日辿って来た稜線が展望できます。
船形山の遥かな道、ポツンと見えている山頂小屋、升沢小屋を出発してからの今日一日を思い返して、改めて稜線を眺めます。





2017年10月2日月曜日

蔵王山

2017年09月23日(土)
恒例の温泉&登山。
昨年の秋田駒ヶ岳は、夫に送迎を頼んで不評を買ってしまったので、
今年は宿から歩いて登山口まで行ける、蔵王山にしました。
蔵王山は登ったことはあるのですが、御釜の印象が99パーセント、
山頂駐車場からピストンしたお山は、「近かった」としか印象にありません。


【山名】地蔵山標高1736m熊野岳1841m刈田岳1758m

【山域】奥羽山脈蔵王連峰
【コースタイム】
           蔵王ロープウエイ8:30-8:50地蔵山山頂駅…9:15地蔵山山頂はずれ
           …9:30ワシ岩ルート…9:46熊野岳山頂9:52…避難小屋10:09
           …10:20馬ノ背…10:31お釜10:41…10:56刈田岳11:07
           …11:30南蔵王登山口…12:23刈田峠避難小屋12…14:10刈田岳1    4:13
           …御釜14:15…馬ノ背分岐14:57…熊野神社15:11…15:14ワシ岩ルート
           …ワサ小屋跡15:36…16:08地蔵山頂ロープウエイ駅舎
           …16:30蔵王ロープウエイ…17:00蔵王温泉蔵王ロープウエイ駅                                                       



素晴らしい夕焼けで暮れた翌朝は、雨音で目が覚めます。
早出して稜線で朝日を拝みたかったのですが、雨では仕方なく、早出する気持ちも萎えました。

元来雨の登山は苦手なので、朝食をいただいてから始発のロープウエイに乗ります




同乗者の会話から私も行ってみたかった「観松平」の地名を漏れ聞きます。
紳士三人、樹氷高原を散策予定でしたが、彼等も霧で諦めるそうです。
蔵王ロープウエイのご縁でOさん・Kさん・Mさんに刈田岳まで同行して頂くことになりました。
山麓線は1330mの樹氷高原まで7分、高度を上げながら遂にガスの上にでました。
乗り換えたゴンドラは空飛ぶ展望台、10分で1660mの地蔵岳山頂駅到着です。


「開運の鐘」を鳴らし、2.5mと大きな坐像の蔵王地蔵尊に登山の無事を祈願します。


オヤマリンドウやヤマハハコの咲く木道敷きの巻道を進むと地蔵山から2つ目のピーク辺りで稜線の道と出合いました。
正面に蔵王山最高峰の熊野岳がガスに見え隠れしています。


案内のあった近道を選び、直登のワシ岩ルートに汗を流します。


熊野岳は霧に包まれていました。
熊野神社に参拝、無事を感謝し、この先の安全を願って合掌します。



山頂標識の前で登頂記念写真を撮ります。
Oさん・Kさん・Mさんが掲げる所属クラブの旗を見て驚きます。
岩手大学で機械工学を学ばれた優秀な方々だった訳で~!




“お釜が見えますように” 霧の馬ノ背を歩きます。




お釜は見えるでしょうか。


願いが通じたようです。
霧の動きが早く、きれいに見えてもまたすぐに霧に包まれます。
Mさんは、5度目のきょう初めてお釜に対面できたそうです。
Kさんは、かつて自転車でお釜を見に来たことがあるそうです。





刈田岳山頂でウエアーもお揃いです。


Oさん・Kさん・Mさんご一緒いただきありがとうございました。
おかげさまで、印象深い蔵王山にであえました。


鞍部から望む南蔵王の前山
蔵王ロープウエイの営業終了まではまだ時間があるので、
南蔵王方面に足を延ばします。



刈田岳山頂から宮城と山形を結ぶ山岳道路蔵王エコーラインを4度横断すると

この標識と指導標のある南蔵王登山口に降り立ちます。







木道の脇やところによっては木道の上を水が流れています。
趣深い、心休まる登山道です。
 
チングルマの赤ととネバリノギランのオレンジの紅葉が見頃です。


イワショウブの花が一輪だけ咲いていた小さい池塘、秋色が何とも言えず素敵です。



オオカメノキの実が霧に濡れて雫には紅葉が写り込みます。

針葉樹のオブジェ、冬の風雪の厳しさが忍ばれます。
モンスターを見に来よう!


刈田峠避難小屋に寄ってみます。
右の壁にヘルメットが20個ほど整然と掛けてあるのが印象的でした。
トイレは入口を入って直の左手、屋内にありました。
管理が行き届いて、大切に使われているなぁと感じました。
覗くだけのつもりでしたが、遅い昼食を摂らせて貰いました。



刈田岳に戻ってきました。
午前中より霧が濃くなった様子です。


馬ノ背は来た時とおなじ霧の道です。
来た時はOさん・Kさん・Mさんに一緒に歩いていただいたので心丈夫でしたが、
帰路 心もとない辿りです。



来た時とは別のルートで、避難小屋手前で左に折れて熊野岳に戻ります。
熊野神社は来た時とおなじ、きょうは一日中靄っていたのでしょうか。



来た時とおなじ、ワシ岩ルートを下ります。



ゴーロの風衝地にイワカガミが咲いていました。
霧のおかげでこの時期まで花が咲かせられるのですね。
狂い咲きと言ってはかわいそう、名残花ですね。



ロープウエイの最終に乗れればいいとのんびり構えて、花を探しながら下ります。
充実した一日でした。
感謝です!