2016年8月31日水曜日

懐かしの美ヶ原

王ヶ頭山頂

2016年08月26日(金)晴れ時々曇り

旅行者として美ヶ原を訪ねてから幾星霜、今回は登山で美ヶ原を目指します。


【山名】王ヶ塔 標高2034m  王ヶ鼻 標高2008m

【山域】美ヶ原

【コースタイム】 行程 ;(-電車バス等 =車・タクシー ・・・歩行)
          松本IC5:40=6:50三城牧場…百曲り登山口7:16…7:34県民の森標識…丸太橋7:36
          …7:47広小場・茶臼岳分岐7:54…8:28樹林を抜ける…8:33水場8:40
          …8:53溶岩台地の岩壁が迫る…8:55アルプス展望コースへ…9:15烏帽子岩9:17
          …9:54ダテ河原コース・王ヶ頭・王ヶ鼻の三叉路…10:00王ヶ頭山頂10:05
          …10:28王ヶ鼻10:57…八丁ダルミコース下山…11:55キャンプ場
          …12:00八丁ダルミ登山口…石切り場12:06…12:33三城牧場12:50
          …13:20ビーナスライン三峰展望所13:30…13:55霧ヶ峰自然館14:15帰路




美ヶ原百曲りコース登山口は、三城いこいの広場センターハウス前にある
大きな案内板の裏手にあります。
階段脇に「塩くれ場3.5K(百曲りコース)」の指導標が出ています。




階段を7~8 段上ると道は平坦になって雑木の中を緩く上って行きます。
一旦オートキャンプ場の敷地に出て、舗装道路を進んだ右手に指導標があり、
県民の森方面へ沢沿いのしっとりした薄暗い道を進みます。

途中にある「県民の森入口」はロープで閉鎖され、荒れ気味の印象ですが、
登山道は遊歩道として整備され指導標が幾つもあるので判り易く、20分余りで、
茶臼岳コースと百曲りコース2本の登山道が出る広小場(ひろこば)に到着します。




広小場はぽっかり開けた草地の広場。
東屋があり、広場の横を大門沢が流れる気持いいところです。
一本とっていると、広島から美ヶ原に上りにやって来たご夫婦が追いついてきました。




百曲りの登山道は、カラマツと雑木の林にジグザグに切られた岩屑の道。
美ヶ原独特の板状節理(鉄平石)とのこと、踏むとカラカラと瓦けのような音がします。




ジグザグを繰り返しながら高度を上げていくと、
視界が開けて雲を被った大きな山の下部だけが見えてきました。
鉢伏山かしら?




「塩くれ場1.0km」の指導標を過ぎると、登山道が湿ってきました。
登山道が折り返す道脇に、地表が露わになった浅い窪みがあるので近寄ってみると、地下水が僅かに湧き出しています。
水の在り処に敏感なハクサンフーロやハナイカリ、シナノオトギリが咲いています。
上の方から「水場があるよ」と声がかかります。
私の亀足に業を煮やして先行したAsan、水場に着いたようです。




溶岩台地の稜線直下の岩壁が目の前に迫ってきました。
美ヶ原といえば牛がのんびりと草を食む景色を思い浮かべますが、王ヶ頭や王ヶ鼻、烏帽子岩の溶岩岩壁は、美ヶ原に猛々しい景色を添えて魅せます。




なおも岩屑の急坂を上って行くと三叉路に標識があり、直進すると塩くれ場や美しの塔から山本小屋方面へ、左折するとアルプス展望コースで王ヶ頭や烏帽子岩、王ヶ鼻方面への案内があります。
左のアルプス展望コースを進むことにします。




美ヶ原台上の縁に沿ってよく踏まれた道を、草原の斜面をトラバースしていきます。
淡い期待がはずれて、北アルプスをはじめ展望の山々は、雲の中です。
振り返るとかろうじて頭を出した蓼科山だけが望めます。




遠くの景色は叶いませんが、アンテナが林立する王ヶ頭辺りは良く見えて、
時折ガスが湧いたりしています。






草原を彩る花の多さに、立ち止る回数が増えます。
Asanはトコトコとまた一人旅です。






「槍が見えるよ!」ケルンが積まれた岩地でAsanが待っていてくれました。
慌てて駆けつけたのに時すでに遅し、モクモクと湧きあがる雲に槍はかき消されました
登山口の三城牧場が眼下に見えて、鉢伏山の大きい山容が視界に留まります。






穏やかな溶岩台上の直下、山麓の上空に突き出て聳える険しい烏帽子岩。
幾重にも重なった板状節理の岩壁は、見るからに脆くぱらぱらと簡単に剥離してしまいそうで、突端近くに足を運ぶのは尻込みしてしまいます。

 




るんるんの花の道。
同じリンドウ科ですが、名前の違う2種類の花が同じ場所に咲いていました。

エゾリンドウ
オヤマリンドウより大型で花は茎頂とかなり下の葉腋まで付く。
花期は8月から10月



オヤマリンドウ
茎頂と上部の葉腋(ようやく)に1~7個のはなをつける。
エゾリンドウより小型
花期は8月から9月






アルプス展望コースを離れて、王ヶ頭ホテルの直下から王ヶ頭の山頂に上ります。
美ヶ原の最高点王ヶ頭は、林立するアンテナと王ヶ頭ホテルの西の端に、平坦で広い山頂です。
「王ヶ頭」と石に刻んだ立派な山頂標石と三角点があり、左隣に不動明王と摩利支天の立派な石像も安置されています。





山頂南側は三城集落に向かって切れ落ちています。
山麓の濃い緑の中に、牧草地のやわらかいみどりが三城牧場です。


朝車を停めた登山者用駐車場が画面中央に映っています。
広小場へは、駐車場上の道路向側にある登山口から画面の左方向(東)へ、
ほぼ真直ぐ進みます。




「百曲り」は、画面の真ん中を左上から右下に下る尾根の鞍部から奥に見えているピークの裏側に切られているようです。




王ヶ頭を後に王ヶ鼻に進みます。
山頂を西に下って舗装路に出ると武石側からの道を合わせ、更に西進します。




松本平に向かって突き出た板状節理が王ヶ鼻の山頂です。
岩に腰を下ろしてまったり、雲はとれそうもなくアルプスの展望は次回お預けです。


 



岩に腰を下ろして30分程まったり、下山は八丁ダルミコースを石切場に降ります。
真北の武石峰を見ての急な下りを束の間、左に王ヶ頭へのトラバース道を分けます。





尾根を左に大きく回り込んで雑木と唐松の混じる山腹を、大きくジグを切って下ります。
腐葉土が心地いい登山道です。
 







木船コースが左に分岐すると、キャンプ場を抜けて、暫くで案内板のある八丁ダルミコースの登山口です。
石切場からは、よもぎこば林道を三城牧場へ戻って、無事下山しました。

八丁ダルミ登山口の案内板


8/26 軌跡

石切場 

三城牧場 右に見えているのは烏帽子岩


美ヶ原、変化に富んだ山行きが楽しめた、しっかり登山の山でした。


2016年8月27日土曜日

白駒池・高見石・丸山 麦草峠から周回

もののけの森


2016年08月21日(日)のち

【山名】丸山標高2329.6m

【山域】北八ヶ岳

【コースタイム】 行程 ; (-電車バス等 =車・タクシー ・・・歩行)
           駒出池キャンプ場7:00=7:25麦草峠登山口7:33…7:36麦草ヒュッテ
          …8:00白駒の奥庭…8:20菁苔荘…白駒池…8:35白駒の池遊歩道…9:07白駒荘9:28
          …21:30高見石分岐…10:00高見石小屋10:50…11:10丸山…12:10麦草峠




北八ヶ岳を東西に貫いて走る国道299号線は、メルヘン街道とも呼ばれます。
国道で2番目に標高の高い麦草峠(2127m)を頂稜部に茅野市側の蓼科高原と佐久市側の八千穂高原に広がるシラカバ林やカラマツ林などの美しいロード景観が
ドイツのメルヘン街道に似ていることから名付けられたそうです。
 
八千穂自然園の白樺林

駒出池キャンプ場



八千穂高原の駒出池にキャンプを張った翌日、
北八ヶ岳の登山基地、麦草峠から白駒池を巡ります。

雨に降られた昨日に打って変わって、透き通る青空です。


 
麦草ヒュッテの前に花野が広がります。
シュロソウ、ヤナギラン、クガイソウなど終盤の夏の花の中にあって、
ハクサンフーロはまだまだ盛りです。
マツムシソウ、アキノキリンソウ、ゴマナ、オヤマリンドウなど秋の花が目立ちます。


晩夏から秋にかけて咲く ツクバトリカブトがそこここにかたまって咲いています。




花野を過ぎると針葉樹の原生林「黒曜の森」に入って行きます。
鬱蒼とした森に、種類の違うたくさんの苔で幾重にも覆われた、
まさに「まるで緑の絨毯を敷き詰めた」かの光景が広がります。




まぁ可愛いい!
苔には茸がよく似合います。





ぽっかり空が抜けて、「白駒の奥庭」と呼ばれる場所に出ました。

苔むした岩の一角、根付く植物は、盆栽じたてのように小ぶりで美しい。
悠久の時が築いた、岩とハイマツとシャクナゲの自然庭園を木道で渡ります。

再び天を覆うツガ、トウヒ、シラビソの原生の森「白駒の森」に分け入ります。
苔むした倒木に生まれた幼木は、苔がため込んだ水を得て根を地面に伸ばして
成長していきます。
その間に倒木は、分解されて土となり消えていきます。
新たな木の根元には、かつて倒木があった部分が隙間になる根上がり現象がみられ、北八ツ白駒の池周囲の苔の森で繰り返されてきた、自然の神秘を垣間見ます。




白駒池北岸の青苔荘に出ます。





青苔荘の前から池畔にでます。
船着き場から西岸の白駒荘が水鏡に映って見えます。





青苔荘から白駒荘まで右回りに白駒池を巡ります。

「もののけの森」はもこもこと凹凸のある地形です。
木道の危うげな足元を気にしながら、進んだり立ち止まったり、振り返ったり、
差し込む光が立体的に緑の苔を浮き上がらせる、独特のムードに浸ります。





もののけの森を抜けると白駒の池の縁にでます。
水と光と風が池の水没木をアレンジする美しい景色に出会います。






池の端の白駒荘に到着すると、夏休みの親子連れ、若者のグループとかたくさんの人で賑っています。
私たちも小腹休憩、記念写真も写してのんびりします。
 

 
 
 
 

来た道を少し戻って「高見の森」を高見石に向かいます。
日射しに煌めく苔に心奪われ、囀る鳥に心通わせ…おっとと!
大石の足元が濡れているので要注意です。






高見石も登山者でいっぱい。
不思議だなぁ?道中歩いてる人には出会わなかったのに、
白駒荘といい高見石小屋といいこの賑わい。
北八ヶ岳の原生の苔の森は、深山に分け入ったという充足感が味わえる上に、
要所にある山小屋にオアシスの安心感を得られるし、整備の行き届いた登山道は急坂も少なく、バラエティにも富んでいるので人気があるのも頷けます。




 ガスの切れ間に白駒池が見えます。





高見石から標高差50m弱上ると丸山です
樹林に覆われた山頂にはきょうのルートで唯一の三角点があります。




標高差200mのほぼ下りで麦草峠に戻ります。
北八ヶ岳の苔の森には、約500種類の苔が生育しているとか、
この数は日本の苔の4/1にあたるのだそうです。
山にある幸せを味わう、今日も良き日でした。