2014年6月25日水曜日

2014年 6月の花

ヨウラクツツジ
枝先に数個下向きに深紅の花を咲せます。
長い梯子の上り下りに、山腹の巻道に、ルビーを散らしたようです。
人の背丈よりわずかに高く丁度いい塩梅に気高く愛らしい花を仰ぎます。
花言葉は「愛の喜び!」


チョウジコメツツジ(ニシノコメツツジ)
風の強い岩礫地に生えるツツジ科の落葉小低木で、花は名のごとく米粒のようです。
コメツツジに比べると花の筒部が長いので頭に丁子とついたようです。
オシベが花冠から飛び出しているコメツツジにたいして、オシベは筒部にしまわれています。
本州中部の亜高山帯の岩場に生育するとありますが、徳島や宮崎でも確認されているようです。


クワガタソウ ゴマノハグサ科の多年草。
三角を2個つなげた扇形の果実を兜(鍬形=角のように2本立っている)にみたてたようです。


ササユリ
ササユリはスズタケと共生しています。
花が咲かないと、笹だかササユリの葉だか見分けがつかない程よく似ています。
ササユリと呼ばれる所以です。

ヒメサユリと比べると、雌しべや雄しべが濃い鮮やかな色をしています。
葉も花姿も丸みを帯びたヒメサユリに比べて、大ぶりなのにほっそりとした印象です。


タニギキョウ
北海道から九州の山地の木陰に生えます。
5~8ミリの小さな花を上向きにつけます。
丹沢の木ノ又尾根で最初に見た時は名を知らぬ花でしたが、「梅雨が似合う花だこと」と思ったのでした。



 シソバタツナミソウ
葉裏の紫蘇葉色や浮き出た葉脈の文様、肉厚のビロードのような手触り等々、
花もさることながら葉が美しいと思います。


クロカミシライトソウorチャボシライトソウ ユリ科
糸屑を束ねたような花の姿に由来して名前が付けられたそうです。
この種はシライトソウの仲間のクロカミシライトソウかチャボシライトソウらしいのですが、
どちらか判断できません。
秋田県~九州の山地の木陰に生えるとあります。
清楚な花姿は茶花としても好まれるとのことですが、私は初めてみました。
第一印象でハクセンナズナの仲間かしらと思いましたが、ユリ科の植物とは…驚きました。


ベニドウダン
近畿以西に産するチチブドウダンをベニドウダンと呼ぶそうです。
枝先に長さ3~6mmの鐘形の緋色の花を房状に下向きにつける姿は、生娘の簪のようです。


2014-06-25日





2014年6月22日日曜日

大崩山(標高1644m) 祖母・傾・大崩山塊

 
「大崩山おおくえやま」を知ったのは山登りを始めて間もなくでした。
岩峰の素晴らしい写真をたまたまネットで見て、なんという山でどこにあってどんな山なのか、虜になりました。

 初心者の私がおいそれと上れる山ではないらしい。
かといって連れて行ってと先輩に頼むには遠い宮崎では気が引け、
…憧れるだけの日々。
5年後の2010年になって初めて、大崩山にのぼる機会が巡ってきました。
「宮崎山好クラブ」のYAMASkさんの案内で、袖ダキ、乳房岩、涌塚、大崩山山頂、
小積ダキ、坊主尾根と天下に誇る岩峰群を巡りました。
岩峰群にもじどおり花を添えるのが、ササユリの花です。
ササユリの花の咲くころは梅雨の最盛期、この日も残念ながら雨模様で、
岩峰群にガスが流れました。



2014年6月大崩山を再訪しました。
鹿児島の山友おごじょさんと二人で垂涎の展望を心行くまで楽しみました。


上祝子登山口を入って登山道から覗く祝子川には大小の花崗岩が白い岩肌を晒していました。


仰ぎ見る小積ダキが朝日を受けて輝いてます。心を奪われる荘厳な景色に佇みます。


徒渉点の前回あった橋は流されていました。
飛び石伝いに渡るのですが、この日は水量がちょと大目、私は早々と靴を脱いでじゃぶじゃぶ渉りです。
のんびりと岩に腰を下ろして、飛び石ルートを探るおごじょさんを待ちますが、…徒労に終わったようで、おごじょさんもじゃぶじゃぶと渉ってきました。

祝子川の徒渉を終えると小積谷に沿って山腹を上って行きます。岸辺の岩付きにササユリが咲いていました。


袖ダキに上ってきました。
おごじょさんが腰かけているのは巨大な1枚岩の上、大崩山で呼ぶ「ダキ」です。
ここまで誰一人登山者に会わなかったので、憚ることなく写真を撮りながらのんびりゆったり、3時間かかりましたよ。




袖ダキが起き上がる
基部に
ササユリが一輪
咲いていました。








互いに写真を取り合っておごじょさんに送ってもらったのが右の写真です。




袖ダキの対面に小積ダキの迫力ある垂壁を望みます。
尾根を彩るサラサドウダンツツジの紅が下涌塚を遠景によく映えます。
5月はこの巨大な岩塊がアケボノツツジで花の冠を被ったようになるそうです。


下涌塚の岩峰の端に立つおごじょさん。彼女の右側はすっぱり切れ落ちています。
谷間には原生の森が深々とよこたわり、ゾクッと身震いする景観です。


中涌塚の途中で下涌塚を振り返ります。
黒いいでたちの御仁は命知らずですね。


ところを変えて今度は中涌塚を借景に、あな恐ろしやおごじょさん!



やっと中涌塚に上ってきました。
岩峰を中空に穿った廊下を歩く彼女の目に映るのは上涌塚の岩峰でしょうか。


 
中涌塚の石廊下からのぞむ景色は巨大な岩塊の塔、上涌塚。
あの尖塔に登路があるようで…いやはや、いやはや。



上涌塚に上って中涌塚を俯瞰。石廊下は中涌塚の3つに分かれた頂稜部の真中(2つ目)にあったのでしょうか。
左の頭に上りかけて、チョックストンの辺りでこりゃ手におえないと退散したのは、ここから見る限り正解でした。

この岩は七日廻岩、私には河童の横顔に見えてしょうがない。お皿が緑色なんて、自然の造景は奇想天外摩訶不思議、名匠も及びません。


上涌塚の岩塔を降りてくるとおごじょさんの知り人に出会いました。
「宮崎山行クラブ」のYamahiroさんパーティに初対面の御挨拶をします。
山頂には寄らないという彼らと一緒下ることにします。

リンドウ丘で昼食休憩。
大崩山の家で作って貰った弁当は半端な量ではありません、半分を食べるのがやっとでした。

りんどうの丘から下涌塚、中涌塚を展望します(右より)。

リンドウの丘から坊主尾根を下っていくと、ワク塚の展望が良いテラスと呼ばれる一枚岩があります。
このテラスは木霊が返ってくるそうで、おなじみさんは「こだまさん」と呼んでいました。
大崩山を愛する人ならではのネーミングですね。



小積ダキをピストンします。
Yamahiroさんが指さす方向に涌塚の岩峰が眺められます。
 
そして象岩を眺めます。
登山道は象岩のお尻のあたりをトラバースして左の樹林に入ります。

象岩に降りてきました。
ワイヤーが張られているので掴まっていれば滑落はしないでしょうが、見るからにいやらしさに鳥肌が立ちます。


坊主尾根は巻くのもままならない様で、大岩の頭に乗ったり降りたり、やたら多いい梯子は時に傾いてハラハラドキドキ、これが一般登山道とは何ぞや、うかつに足を踏み入れる山ではありません。


米粒に似ているので米岩、はたまたイルカに似ているのでイルカ岩とも、
坊主尾根の盟主、坊主岩です。

大崩山のマドンナ、ササユリはこの坊主尾根に多く見られました。

険しさと華やぎとドラマチックな坊主尾根も林道ルートとの分岐まで下ると一段落します。
分岐を直進して根張りの急坂を下ると、祝子川の朝渉ったところより下流に出て徒渉します。
また靴を脱いで左岸に渉ると大崩山荘の目の前にでました。
ヤレヤレ一安心、往路を上祝子登山口に無事下山しました。
 

2014-06-12 登山
上祝子登山口6:00…6:14大崩山荘…6:50祝子川徒渉7:10…7:20小積谷…7:23ササユリ
…8:50袖ダキ9:10…9:40下涌塚10:07…0:21中涌塚10:37…11:23上涌塚11:30
…大崩山山頂分岐11:50…11:59リンドウ丘12;20…「こだまさん」12:45…12:55小ツダキ12:58
…13:12象岩トラバース13:15…13:24坊主尾根…大岩くぐり13:36…上祝子登山口16:00


 

2014年6月19日木曜日

行縢山(むかばき)標高829.9m 祖母・傾き・大崩山系


宮崎県の山二座に上ります。
天気は二日間とも上々の予報です。飛行機から見える富士山がかつてない美しさでした。
宮崎空港に鹿児島の山友「おごじょさん」の出迎えを受けて、県北部の延岡に向かいます。


最初に行縢山に上ります。
山名が気になる山です。
「武士が乗馬の際に太ももに装着する、皮でつくられた防具=縢(はき)」のことだそうです。
命名は日本武尊命とも伝えられています。
日本武尊命、命名伝説の山に登るのは秋田・岩手県境の「真昼岳」に次いで二座目です。


登山口到着は13:00を回っていました。






むかばき川に沿って登山道を辿ると視界全面を占める垂崖が現れました。
目指す行縢山です。









橋の上から視線を上流に送ると一条の白い流れが、緑の谷に降り注いでいます。
左に雄岳、右に雌岳、二つの峰を切裂く様に落下する滝、日本滝百選の行縢の滝です。
橋のたもとで下山してきたパーティに出会いました。
「滝が良かったよ。ぜひ見ていって!」「ササユリを見に来たのに、咲いてなかったの」言葉を交わして別れます。
午後からの登山は余裕を欠いて早めのピッチ、汗が流れます。
しかし幸運でした。梅雨の晴れ間の涼風が抜ける絶好の登山日和に恵まれました。


なるほど勧められるだけのことはある滝です。滝のしぶきがまわりの岩を艶やかに魅せています。


雌岳の分岐を見送って、祠のある峠を抜ける風が心地よく、腰をおろします。



奮ったネーミングです。


一旦沢に下ります。


行縢山は幾度となく上ったことがあるのに、この辺りの地形に記憶がないというおごじょさん。
まあ道はしっかりしているので山頂に出るのは間違いなさそうです。


二等三角点が置かれた山頂です。
ササユリを探しますが、終わったようですね。


行縢神社
本来の登山口はここですが、上部に第2登山口があります。
ナビがそちらに案内してくれて私たちは第2登山口から上りました。


羽田空港7:55=9:30宮崎空港9:45=行縢山登山口13:40…13:51橋・垂壁…14:05滝14:15
14:28雌岳分岐…14:36峠…14:40沢の徒渉…14:57水場…15:25山頂…16:07峠…17:00行縢神社
=18:00大崩の茶屋=美人の湯=19:00大崩の茶屋

2014-06‐13 登山